日本で雪が多い上位10カ所に、英語版Wikipediaが1つもありません
日本395カ所のうち、英語版Wikipediaがあるのは15カ所。降雪量で並べると43位、68位、70位…そして353位。知名度と雪の多さの相関は0.115、つまり無関係です。関係があるのは宿の数でした。
日本で雪がいちばん多いスキー場を10カ所並べ、それぞれに英語版Wikipediaがあるかどうかを添えました。
| スキー場 | 平年の降雪 | 英語版 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 奥只見丸山 | 796cm | 無し |
| 2 | 岩原 | 755cm | 無し |
| 3 | 中里スノーウッド | 755cm | 無し |
| 4 | 湯沢中里 | 755cm | 無し |
| 5 | 湯沢パーク | 755cm | 無し |
| 6 | 関温泉 | 748cm | 無し |
| 7 | 八海山 | 738cm | 無し |
| 8 | アライ | 725cm | 無し |
| 9 | シャルマン火打 | 725cm | 無し |
| 10 | 白馬47 | 718cm | 無し |
**10カ所中10カ所。**日本語版はほとんどが持っています。英語で書かれたものが、1つも無いということです。
英語で書かれている15カ所
395カ所のうち、英語版Wikipediaがあるのは15カ所。降雪量の国内順位で並べます。
| 降雪の国内順位 | スキー場 | 平年の降雪 | 宿 |
|---|---|---|---|
| 43位 | 野沢温泉 | 510cm | 36軒 |
| 68位 | 苗場 | 458cm | 11軒 |
| 70位 | 白馬八方尾根 | 453cm | 79軒 |
| 87位 | 安比高原 | 413cm | 19軒 |
| 109位 | 高鷲スノーパーク | 366cm | 5軒 |
| 124位 | 旭岳 | 345cm | 15軒 |
| 151位 | ニセコグラン・ヒラフ | 315cm | 431軒 |
| 178位 | 蔵王温泉 | 297cm | 56軒 |
| 183位 | 花輪 | 290cm | 11軒 |
| 188位 | サッポロテイネ | 279cm | 0軒 |
| 251位 | 富良野 | 222cm | 32軒 |
| 273位 | ハンターマウンテン塩原 | 203cm | 25軒 |
| 279位 | ルスツ | 199cm | 15軒 |
| 348位 | エコーバレー | 129cm | 1軒 |
| 353位 | 白樺湖ロイヤルヒル | 129cm | 27軒 |
**いちばん上でも43位。**世界が日本の雪と結びつけて考えるニセコは151位。15カ所のうち2カ所は下位50位に入っています。
数字で見た関係
日本395カ所で、知名度と降雪量の順位相関は 0.115 です。
弱い関係、ではありません。事実上、関係がありません。
| 英語版Wikipediaがある | 15カ所 | 降雪中央値 297cm |
| どの言語にも記事が無い | 167カ所 | 降雪中央値 254cm |
| 全体 | 395カ所 | 降雪中央値 268cm |
英語圏が名前を知っている場所は、どこにも記事が無い場所より、1シーズンで43cm多いだけ。250cmを超える土台の上では、差とは言えません。
では何と関係があるのか
雪ではなく、宿でした。
英語版がある15カ所の宿は中央値19軒。記事がまったく無い167カ所は3軒。ニセコは431軒で、この一覧の次の4カ所を足したより多い。
口に出してみれば当たり前の話です。**英語で書かれた日本のスキーの記録は、外国人向けに宿を建てた場所を書いたもので、そうした場所が知られるようになった。**雪の量は、その選定基準ではありませんでした。誰かが全国を測って、雪の多い山から開発したわけではないのです。
向きには注意が要ります。**宿が有名にしたのではありません。**ニセコは有名になってから建物が建ちました。ただ、有名さと宿は一緒に来て、そこに雪は関与していなかった、ということです。
日本の読者にとって、これが何を意味するか
**「外国人に人気」を雪の目安に使わないこと。**その情報はほとんど何も語りません。海外で有名だということは、英語の案内があり、外国人向けの道具が借りられ、空港からバスが出ている、という意味であって、そこに何が降るかとは別の話です。
**逆に、日本語でしか知られていない場所を低く見ないこと。**上の表の1位から10位は、日本人にはおなじみの名前が並んでいます。英語圏に情報が無いだけで、雪では日本の頂点にいます。
**そして、この構図はこれから変わり得ます。**海外から来る人が増えるにつれ、宿が建った場所が知られていく順序は今も同じです。降雪上位10カ所のうち、宿を持っているのは限られます。そこが「次」になるかどうかは、雪ではなく、建物が決めます。
数字の出どころ
降雪量は Open-Meteo の過去データ(ERA5再解析)から、直近3シーズン(12〜3月)の平均を、世界3,108カ所に同じ計算で当てたものです。日本の山では実測より小さく出るので、順位のほうを信じてください。
知名度は、そのスキー場について書かれた Wikipedia の言語版の数に、英語版があれば加点したものです。**代理指標であり、粗いものです。**日本語版しか無くても日本人にはよく知られている場所があります(栂池高原と白馬岩岳コルチナがまさにそれです)。この指標が確かに測っているのは「何が、どの言語で、書かれているか」であって、この記事の問いはまさにそれです。
**スキー場とWikipedia記事の照合は思ったより難しく、正しくなるまでに3回間違えました。**名前で検索するだけだと、町の記事や山の記事、2件では「日本のスキー場一覧」というページを掴み、英語版ありが15件ではなく109件と出ていました。いまは、スキー場の名前の核が記事の題名に含まれることを必須にし、一覧と曖昧さ回避のページを除き、名前を緩めて一致させたときは記事のカテゴリを確かめています。
宿は OpenStreetMap に載っている12km以内の施設数で、部屋数ではなく建物の数です。人が集まる場所ほど地図が細かいので、この傾向は作られたものではなく、むしろ強められる方向に働きます。
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