暖冬の年でも雪が残るスキー場。12シーズンでいちばん悪い冬、湯沢は328cm、ニセコは166cm
予約は夏、滑るのは冬。雪の少ない年に当たったら、どれだけ残るのか。全国377カ所の12シーズンを1冬ずつ数えると、悪い冬は全国でいっせいに来ていました。身を守るのは「安定した地域」ではなく「深い場所」です。
スキー旅行の予約は、たいてい夏か秋に済ませます。宿も休みも、どんな冬になるか分かる前に決まってしまいます。
だから本当に知っておきたいのは、平年の降雪量ではありません。雪の少ない年に当たったら、そこにどれだけ残るのかです。
全国のスキー場のうち、平年100cm以上降る377カ所について、直近12シーズン(2014/15〜2025/26)の降雪を1冬ずつ数えました。
悪い冬は、全国いっせいに来る
12シーズンでいちばん雪が少なかった冬は、377カ所中240カ所が2015/16でした。次が2019/20の68カ所で、この2つで8割を超えます。2015/16の冬の入り口にあたる2015年12月は、東日本で記録的な高温でした(気象庁「2015年の日本の天候」)。
雪の少ない年が地域ごとにばらばらに来るなら、「毎年安定している地域」を選べばよけられます。実際はそうなっていません。悪い年は、候補にしていたどの地域にも同時に来ます。 選べるのは、そのとき雪がどれだけ残っているかだけです。
よく名前の挙がるスキー場の「いちばん悪い冬」
| いちばん悪い冬 | ふつうの冬 | いちばん多い冬 | |
|---|---|---|---|
| 戸隠 | 385cm | 561cm | 699cm |
| ガーラ湯沢 | 328cm | 625cm | 774cm |
| 岩原 | 328cm | 712cm | 921cm |
| 野沢温泉 | 301cm | 440cm | 635cm |
| 白馬八方尾根 | 301cm | 394cm | 609cm |
| 関温泉 | 273cm | 732cm | 867cm |
| 赤倉観光 | 273cm | 452cm | 560cm |
| 苗場 | 241cm | 451cm | 540cm |
| かぐら | 241cm | 595cm | 717cm |
| キロロ | 209cm | 324cm | 442cm |
| 志賀高原 | 197cm | 246cm | 337cm |
| 富良野 | 181cm | 207cm | 266cm |
| 安比高原 | 167cm | 389cm | 504cm |
| ニセコグラン・ヒラフ | 166cm | 296cm | 384cm |
| 丸沼高原 | 158cm | 250cm | 312cm |
| 蔵王温泉 | 129cm | 260cm | 357cm |
「ふつうの冬」は、12シーズンを多い順に並べたときの真ん中の冬です。
戸隠・湯沢・野沢・白馬八方は、いちばん悪い冬でも、ニセコのふつうの冬(296cm)より多く降りました。
安比高原は、ふつうの冬なら389cmと十分に降ります。ただ、いちばん悪い冬は167cmで、平年の44%まで落ちています。ふつうの年の多さと、悪い年の強さは別のものです。
首都圏から近いところ
新幹線で行ける湯沢・南魚沼一帯は、12シーズンでいちばん悪い冬でも328cm降っています。岩原・中里・湯沢パーク・ガーラ湯沢・神立高原・石打丸山・上越国際・舞子などが、どれも同じ値です。この一帯は気象モデルの格子(30km四方)が同じなので、隣り合うスキー場を区別できません。
群馬では、丸沼高原と尾瀬岩鞍がいちばん悪い冬で158cm、川場・谷川岳天神平・ノルン水上が183cmでした。車で行きやすい反面、悪い年に残る雪は湯沢の半分ほどになります。
北海道は「減りにくい」が、「残る量」は少ない
都道府県ごとに、スキー場の真ん中の値をとりました。
| カ所 | 平年 | いちばん悪い冬 | 悪い冬に残る割合 | |
|---|---|---|---|---|
| 新潟県 | 47 | 567cm | 306cm | 53% |
| 長野県 | 60 | 327cm | 214cm | 64% |
| 群馬県 | 23 | 252cm | 183cm | 63% |
| 秋田県 | 17 | 280cm | 182cm | 58% |
| 岩手県 | 11 | 332cm | 167cm | 51% |
| 青森県 | 9 | 234cm | 154cm | 66% |
| 山形県 | 17 | 312cm | 151cm | 51% |
| 福島県 | 25 | 325cm | 151cm | 51% |
| 北海道 | 86 | 209cm | 149cm | 71% |
| 岐阜県 | 16 | 220cm | 136cm | 64% |
| 宮城県 | 11 | 190cm | 111cm | 67% |
| 広島県 | 8 | 116cm | 57cm | 50% |
| 兵庫県 | 10 | 205cm | 51cm | 27% |
北海道は、悪い冬でも平年の7割が残ります。割合では全国でいちばん安定しています。 ただ、もともとの量が少ないので、残るのは149cm。新潟の306cmの半分以下です。
割合で見るか、cmで見るかで、答えが逆になります。パウダーの日を数えたときと同じで、北海道の強みは量ではなく、降った雪が雨にならないことです。
兵庫県は、平年205cmあるのに、いちばん悪い冬は51cmでした。平年の4分の1です。気温がぎりぎりのところで雪になっている場所では、暖かい年の落ち込みがここまで大きくなります。
どう選ぶか
日程を動かせないなら、深い場所を選ぶ。 半分に減っても、元が多ければ残ります。戸隠・湯沢・野沢・白馬八方は、いちばん悪い冬でも300cmを超えました。
北海道は雪質で選ぶ。 冷たく乾いた雪は本物で、全国でいちばんです。ただ、「暖冬でも北海道なら大丈夫」とは言えません。悪い年に残る量は、本州の豪雪地より少なくなります。
直前に決められるなら、この話は小さくなります。 降っている場所を見てから行けばよいからです。
測り方について
降雪量は、気象モデル(ERA5再解析)の日ごとの降雪を、2014/15〜2025/26の12シーズンそれぞれについて12月〜3月で合計したものです。日付の区切りは日本時間です。対象は、平年100cm以上降る377カ所です。
このモデルは山の雪を実際より少なく見積もります。 気象庁の観測所と突き合わせると、実測の56%程度しか返しません。北海道はとくに低く出ます。そのため北海道の「いちばん悪い冬」も、実際はこの表より多いはずで、新潟との差はこの表ほど大きくないかもしれません。ただ、北海道の値をほぼ2倍にしてようやく並ぶ差なので、戸隠や湯沢の深さとの差は、それでも残ると考えています。
12シーズンは長い記録ではありません。 ここでいう「いちばん悪い冬」は、この12年でいちばん悪かった冬です。これより悪い冬が来ない、という意味ではありません。
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