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温暖化で、スキー場の雪は減っているのか。気象庁の60年と、全国361カ所の12シーズンで確かめた

気象庁は、1962年以降の観測で日本海側の最深積雪に減少傾向があるとしています。一方、全国361カ所のスキー場の直近12シーズンでは、後半6冬の雪は前半6冬より多く、ひどく少ない冬は402回から51回に減りました。長い目で見た減少と、ここ12年の数字が食い違う理由を整理します。

「最近は雪が少なくなった」と、スキー場でもよく聞きます。温暖化で、日本の雪は本当に減っているのでしょうか。

答えは、どのくらいの長さで見るかで変わります。気象庁の60年あまりの観測では、日本海側の雪ははっきり減っています。ところが、当サイトが全国のスキー場について計算している直近12シーズンでは、減っているとは言えません。この2つは矛盾しているわけではありません。順に見ていきます。

気象庁の60年:日本海側の雪は減っている

気象庁は、1962年以降の観測で、日本海側の各地域の年最深積雪(その冬にいちばん深く積もった雪)に減少傾向が現れているとしています。1日に20cm以上降るような大雪の日数にも、減少傾向があります(気象庁「日本の気候変動2025」第6章 雪)。

減り方は一様ではありません。各地の最深積雪は1980年代後半に大きく減り、その後、東日本と西日本の日本海側では少ない状態が続いています(広島県の気候変動適応の資料、気象庁の気候変動監視レポートより)。北海道の日本海側では、稚内・札幌・倶知安など8地点の平均で、10年あたり約4%の割合で減っています(1962〜2022年、札幌管区気象台)。

ただし気象庁は、標高の高い地点については、1982年以降のアメダスの観測で期間を通じた変化傾向は確認できないとしています。スキー場の多くは、この「標高の高い地点」にあたります。

当サイトの12シーズン:減っているとは言えない

当サイトは、全国のスキー場の降雪を、2014/15から2025/26までの12シーズンについて同じ方法で計算しています。営業中で12冬すべてがそろう361カ所の平均を、冬ごとに並べました(12冬の平均を100とした値)。

冬全国361カ所の雪
2014/1598
2015/1663
2016/17109
2017/18113
2018/1996
2019/2084
2020/2199
2021/22121
2022/2399
2023/24100
2024/25122
2025/2697

前半の6冬(2014/15〜2019/20)の平均は273cm、後半の6冬(2020/21〜2025/26)は308cmで、後半のほうが13%多くなっています。

ただ、この差の大部分は2015/16の1冬で説明がつきます。12冬でいちばん少なかったこの冬を除くと、前半の平均は291cmで、後半との差は6%まで縮みます。標高の高いスキー場(山頂が1,300m以上の71カ所)では、2015/16を除くと前半と後半はほぼ同じです。

ひどく少ない冬の数も、前半に偏っています。各スキー場で、その場所の12冬の平均の7割に届かなかった冬を数えると、前半6冬では延べ402回、後半6冬では51回でした。前半の多くは2015/16と2019/20です。

なぜ食い違うのか

理由は3つあります。

1つ目は、12年は短すぎることです。雪の量は冬ごとの差がとても大きく、12冬の中にも、平均の6割しか降らなかった冬と、1.2倍降った冬があります。気象庁も、年最深積雪は年ごとの変動が大きく、長い期間の傾向をつかむのが難しいと注意しています。60年で見える減り方は、12年では冬ごとの上下に埋もれます。

2つ目は、大きく減ったのが1980年代後半だったことです。気象庁の記録では、減少の多くはこの時期の段差で、その後は少ない状態のまま横ばいに近い地域があります。直近12年は、すでに減ったあとの水準の中での上下を見ていることになります。

3つ目は、暖かくなると、降るときはかえって多く降ることがあることです。気象庁の異常気象分析検討会は、2025年2月の大雪について、地球温暖化によって東北から東日本の積算降雪量が約6%増えていたという分析を示しています(気象庁 異常気象分析検討会 2025年3月)。海面水温が上がると、日本海から雪雲に入る水蒸気が増えるためです。シーズン全体の雪が減っていく中でも、寒気が来た日のドカ雪は強まることがあります。

スキーをする人にとっての意味

ここ12年の数字だけを見て「雪は減っていない」と言うのも、「年々少なくなっている」と言うのも、正確ではありません。長い目で見れば、日本海側の雪は減ってきました。一方で、冬ごとの差はそれ以上に大きく、悪い冬は全国でいっせいに来ます。

そのため、行き先を選ぶときに役に立つのは、平年の量よりも悪い冬にどれだけ残るかと、標高です。標高の高いスキー場ほど、ここ12年の前半と後半の差が小さく、雨になりにくい場所でもあります。各スキー場のページには、12冬でいちばん少なかった冬と多かった冬の降雪を載せています。

この冬(2026/27)は強いエルニーニョが見込まれていて、日本海側の雪が少なめになる見通しです。エリアごとの見通しは「エルニーニョの冬、雪が減るのはどこで、増えるのはどこか」に、気温が4℃上がった場合に残るスキー場は「4℃上がって残るスキー場は7カ所」にまとめています。

数字について

  • 当サイトの降雪は、気象モデル(ERA5 再解析、Open-Meteo 経由)の計算値です。日本の山では実測の約6割に出ます。ここでは冬ごとの比べ方にだけ使っています。
  • 対象は、日本のスキー場のうち営業中で12冬すべての値がそろう361カ所です。1冬は12〜3月の合計です。
  • 「前半の6冬」は2014/15〜2019/20、「後半の6冬」は2020/21〜2025/26です。
  • 気象庁の観測は、気象台とアメダスの地点の最深積雪と降雪で、当サイトの計算とは別のものです。

出典: 気象庁「日本の気候変動2025」第6章 雪/札幌管区気象台「北海道の気候変化」第4章/広島県「降雪・積雪の変化」/気象庁 異常気象分析検討会(2025年3月18日)/Open-Meteo(ERA5)

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