旅の計画 / 気候とこれから
エルニーニョの冬、雪が減るのはどこで、増えるのはどこか。12シーズンの雪をエリアごとに比べた2026/27の見通し
この冬は強いエルニーニョになる見込みです。過去12シーズンのエルニーニョの冬を全国392カ所で比べると、新潟など日本海側は平年の8割台、近畿・中国の日本海側は6〜7割に落ち、軽井沢・菅平・八ヶ岳など関東甲信の高原は平年並みかやや多めでした。白馬八方尾根は97%を保っています。
この冬(2026/27)は、強いエルニーニョになる見込みです。アメリカ海洋大気庁(NOAA)は10月8日、強い〜非常に強いエルニーニョが1〜3月まで続く確率を83%以上と見ています。日本気象協会の解説によると、気象庁も9月18日の寒候期予報で、暖冬の傾向と、日本海側の雪が平年より少なめになる見通しを出しています。
では、スキー場はどうなるのか。当サイトは雪を予報しません。代わりに、全国のスキー場について、過去12シーズンの降雪を同じ方法で計算しています。その12シーズンの中に、エルニーニョの冬が5回あります。その5回に、どこの雪が減り、どこが減らなかったのかを、エリアごとに比べました。
全国では平年の9割弱。ただし、場所でまったく違う
12シーズンのうち、エルニーニョの冬(冬の海面水温の指数 ONI が +0.5 以上の冬)は、2014/15、2015/16、2018/19、2019/20、2023/24 の5回です。
| 全国392カ所の雪(平年に対する割合) | |
|---|---|
| エルニーニョの冬(5回)の平均 | 88% |
| どちらでもない冬(3回)の平均 | 110% |
| ラニーニャの冬(4回)の平均 | 108% |
| 12シーズンでいちばん強かったエルニーニョ(2015/16) | 63% |
| 2番目に強かったエルニーニョ(2023/24) | 100% |
全国でならすと、エルニーニョの冬は平年の9割弱です。ただ、392カ所のうち53カ所は、エルニーニョの冬5回の平均が平年を上回っていました。その多くは、関東甲信の高原に固まっています。
エリアごとの、エルニーニョの冬の雪
当サイトのエリア(近いスキー場をまとめたもの。エリアのページと同じ範囲)ごとに並べました。
| エリア | カ所 | 平年の雪 | エルニーニョの冬 | 2015/16 | 2023/24 |
|---|---|---|---|---|---|
| 軽井沢・浅間 | 3 | 114cm | 117% | 122% | 128% |
| 富士山麓 | 3 | 107cm | 110% | 88% | 141% |
| 菅平 | 4 | 164cm | 108% | 97% | 121% |
| 八ヶ岳 | 3 | 124cm | 108% | 83% | 123% |
| 白樺湖・車山 | 10 | 135cm | 104% | 72% | 121% |
| 草津・万座 | 5 | 286cm | 102% | 75% | 118% |
| 志賀高原 | 10 | 332cm | 96% | 65% | 112% |
| 白馬 | 10 | 542cm | 92% | 71% | 104% |
| 富良野・十勝 | 6 | 222cm | 92% | 88% | 94% |
| 安比・八幡平 | 11 | 323cm | 90% | 53% | 108% |
| 札幌 | 10 | 253cm | 89% | 69% | 106% |
| 上越妙高 | 11 | 497cm | 88% | 53% | 102% |
| 野沢・木島平 | 4 | 451cm | 88% | 62% | 98% |
| 蔵王 | 9 | 228cm | 88% | 56% | 111% |
| 南魚沼 | 6 | 507cm | 85% | 66% | 88% |
| 越後湯沢 | 18 | 650cm | 84% | 50% | 91% |
| ニセコ | 3 | 289cm | 84% | 64% | 97% |
| 大山 | 5 | 170cm | 75% | 46% | 101% |
| 氷ノ山・ハチ北 | 10 | 209cm | 69% | 27% | 108% |
| 奥伊吹・余呉 | 5 | 190cm | 59% | 26% | 90% |
割合はエリア全体の雪の量で比べたもの。平年の雪は、ここ12シーズンの1シーズン(12〜3月)あたりの平均。閉鎖したスキー場は数えていません。
表の上と下では、ふだん雪をもたらす天気が違います。上の軽井沢・菅平・八ヶ岳などは、関東甲信と富士山周辺の内陸の高原です。冬型の気圧配置のときは山に遮られて晴れやすく、雪は本州の南を通る低気圧(南岸低気圧)が運んでくることが多い場所です。下の越後湯沢やニセコ、西日本は、冬型の気圧配置で日本海から雪雲が流れ込む側です。
日本気象協会の解説によると、気象庁の寒候期予報は、この冬は冬型の気圧配置が続きにくく、南岸低気圧が通りやすいとみています。当サイトのデータが示せるのは結果だけですが、過去のエルニーニョの冬も、高原で雪が増え、日本海側で減っていました。
県でならすと
| 県 | カ所 | エルニーニョの冬 | 2015/16 |
|---|---|---|---|
| 長野 | 63 | 95% | 69% |
| 岐阜 | 17 | 95% | 70% |
| 群馬 | 23 | 93% | 64% |
| 北海道 | 85 | 91% | 80% |
| 新潟 | 48 | 84% | 54% |
| 鳥取 | 6 | 74% | 43% |
| 広島 | 9 | 73% | 47% |
| 兵庫 | 11 | 67% | 27% |
| 滋賀 | 7 | 60% | 20% |
いちばん減りにくいのは長野・岐阜・群馬で、いちばん減るのは近畿・中国地方のスキー場です。2015/16 の滋賀は平年の2割しか降りませんでした。
名前のよく挙がるスキー場
| スキー場 | 平年の雪 | エルニーニョの冬 | 2015/16 | 2023/24 |
|---|---|---|---|---|
| 白馬八方尾根 | 414cm | 97% | 92% | 102% |
| 志賀高原 | 255cm | 105% | 84% | 116% |
| 草津温泉 | 252cm | 107% | 85% | 122% |
| 富良野 | 220cm | 95% | 93% | 93% |
| 妙高杉ノ原 | 357cm | 94% | 65% | 110% |
| ルスツ | 212cm | 92% | 73% | 98% |
| 苗場 | 446cm | 90% | 54% | 101% |
| 野沢温泉 | 450cm | 89% | 67% | 103% |
| 斑尾高原 | 432cm | 88% | 53% | 105% |
| ガーラ湯沢 | 618cm | 88% | 53% | 91% |
| 蔵王温泉 | 258cm | 87% | 50% | 113% |
| キロロ | 331cm | 86% | 63% | 106% |
| 安比高原 | 377cm | 86% | 44% | 110% |
| ニセコグラン・ヒラフ | 289cm | 82% | 57% | 97% |
1カ所の値なので、上のエリアの表とは数字が違います(例:志賀高原スキー場は105%、志賀高原エリア10カ所では96%)。
白馬八方尾根は、2015/16 にも平年の92%を保ちました。同じ冬、白馬エリア全体では71%、野沢温泉は67%、斑尾は53%まで落ちています。
割合が増えても、雪が深くなるわけではない
割合が増えるのは、もともと雪の少ない高原です。軽井沢プリンスホテルスキー場は平年81cmで、エルニーニョの冬に増えても100cm前後です。ガーラ湯沢は平年618cmで、エルニーニョの冬の平均は1割ほど少ないものの、なお540cmほどあります。ただし 2015/16 には平年の53%まで落ちました。
雪の量で選ぶなら、エルニーニョの冬でも日本海側の深い山が上です。気にすべきなのは、少ない年でも滑れるだけの雪が残るかどうかです。もともと雪が少なく、エルニーニョの冬に減り方も大きい西日本のスキー場が、いちばん厳しくなります。奥伊吹・余呉エリアは、エルニーニョの冬の平均で59%、2015/16 は26%でした。
強いエルニーニョでも、毎回同じではない
12シーズンで強いエルニーニョは2回ありました。いちばん強かった 2015/16 は全国で平年の63%、2番目の 2023/24 は100%で、ほぼ平年どおりでした。同じ「強いエルニーニョ」でも、結果は大きく違います。
2回だけでは、この冬がどちらに近いかは言えません。この記事の数字は、どこが減りやすく、どこが減りにくいかの順番として読んでください。
この冬の計画にどう使うか
- 12月に行くなら:この記事の数字は12〜3月の合計なので、早い時期の雪は分かりません。12月の雪の当てになりやすさは12月の雪の記事に、今季のオープン予定日はオープン日の一覧にまとめています。
- 日本海側に行くなら:平年の量が多い山を選ぶのが安全です。エルニーニョの冬の平均で1〜2割減り、2015/16 のような冬には半分ほどになるからです。いちばん悪い冬にどれだけ残ったかは、暖冬の年でも雪が残るスキー場にあります。
- **関東甲信の高原(軽井沢・菅平・八ヶ岳・白樺湖)**は、エルニーニョの冬に平年並みか、やや多く降ってきました。ただ、いちばん強かった 2015/16 に平年を上回ったのは軽井沢だけで、白樺湖は72%、八ヶ岳は83%でした。もともとの量が少ないので、南岸低気圧が来るかどうかで大きく変わります。
- 北海道は、2015/16 でも8割を保った地域です。ただ、その冬にニセコグラン・ヒラフは57%まで落ち、富良野は93%を保ちました。
測り方について
雪の量は、気象の再計算データ(ERA5)から求めた、各スキー場付近の12〜3月の降雪の合計を、2014/15〜2025/26 の12シーズンで平均したものです。10〜30km四方の平均なので、スキー場が発表する積雪とは数字が合いません。この記事で比べているのは、同じ場所の年ごとの増減です。
エルニーニョの冬は、NOAA が公表する12〜2月の ONI(エルニーニョ監視海域の海面水温の偏差)が +0.5 以上の冬、ラニーニャの冬は −0.5 以下の冬です(前の記事の分け方と同じ)。エリアは当サイトのエリアのページと同じ範囲で、閉鎖したスキー場は全国の集計からも外しています。
この冬の見通しは、NOAA 気候予測センターの10月8日の ENSO 診断と、日本気象協会による、気象庁の9月18日の寒候期予報の解説です。当サイトは独自の予報を出していません。出かける前の雪の状況は、気象庁とスキー場の発表で確かめてください。
出典:NOAA 気候予測センター ENSO 診断、気象庁 季節予報、日本気象協会 tenki.jp「2026〜2027年冬は全国的に暖冬予想」、Open-Meteo(ERA5、コペルニクス気候変動サービス)
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